管理形態の差はあれ、ほとんどのマンションでお世話になっている管理員さん。

 杓子定規に表現すれば、管理会社が管理組合と締結する管理委託契約のうち、管理員業務を担当するスタッフで、受付、点検、立会い、報告連絡等が主な業務内容ということになります。

 このような書き方だと、管理員さんはまるで管理業務には間接的にしかタッチしないように感じますよね。
 実際、私も管理員向け講習会などではそのようにお話ししますし、過去には管理員さんの(良かれと思って行った)スタンドプレーが管理組合で問題となり、その解決に奔走したこともあります。

 また、管理員さんによってばらつく管理業務品質を一定化させるための研修システムが管理会社の実力の物差しだったりしますし、管理員さんに支払われる給与はどうも組合運営には間接的にしか関与しないことを前提に決められているような印象も受けます。

 しかし、あるマンションの理事長がおっしゃっていました。「これからのマンションではその考え方は古い!」と。

 確かに、決まった時間にはマンション内に必ずいて、困ったことやわからないことを相談すると何らかの対応をしてくれる、または解決までは至らなくてもその取っ掛りを提供してくれるという役割は、特に高齢化マンションには大変貴重な存在です。

 それに、例えば単身者世帯などでは、「そこに誰かがいてくれる安心」「ちょっとした世間話を気を使わないでできる関係性」は、日々の生活においてとても価値のあるものだと感じます。

 当の管理員さんにしても、どうせ同じ時間を使うのなら、マニュアル通りに淡々と業務をこなすよりも、マンションのため、人に喜んでもらうために、今まで自らが培ってきた知識や経験を活用できた方がやりがいがあるし、仕事に対する関心も大きくなりますよね。

 案外、これからは管理員さんの今までの経験を活かした人間味あふれる対応、管理会社本体のシステムにプラスワンの人的対応、これらが管理会社選びのポイントになるのかもしれません。

 管理会社はまず管理員さんの給与水準を見直し、研修にも人間力向上のテーマを設けることを検討してはどうでしょうか。
 「言うは易く行うは難し」「そんな甘いもんじゃない」という声が聞こえてきそうですが・・・

(石井孝典)