マンション管理の世界ではほぼ常識となっている管理組合役員の輪番制ですが、この制度がどこから始まったものか考えたことがありますか?

 今回は、私が愛読しているブログ、廣田信子さんのブログに載っていた記事を参考に、輪番制について書いてみたいと思います。

 時代は戦後にさかのぼります。都会は大変な住宅不足に陥り、かつ多くの労働者が流れ込みました。
 大量の住宅確保の必要に迫られ、供給されたのが社宅や公団住宅、自治体の賃貸住宅でした。
 その後、高度成長とともにサラリーマンを対象とした住宅ローンの制度が整い、内需拡大を促す必要性から住宅政策は持ち家政策に転換されました。
 でも、その当時に分譲団地をつくったのは賃貸団地を供給していた人が圧倒的に多くを占め、管理といってもゴミ出しや掃除当番くらいしかイメージしませんでした。
 そして、当番を平等に負担しようという発想で、役員を平等に回さなければというのが輪番制の始まりだそうです。

 また、サポート役の管理会社にとっても次々に役員が交代する輪番制は自らが主導権を握りやすく、都合がよかったため輪番制の理事会を推進したという事情もありそうです。

 確かに輪番制は公平、平等という観点では合理的と言えますが、理事の役割を考えると少々無理のあるやり方という気もしないではありません。

 記事によれば、理事の役割は子育てと同じで、損得勘定なしで「お守り」をすること。子育てを仕事として考えたら絶対に割が合わないです。
 でも、みんな愛情を源泉としてずっと成長を見守るわけです。

 理事が自分の住まいであるマンションを損得なしで「お守り」をしていこうという思いを持てるかどうかが管理組合運営のキモだと思いますが、当番制・輪番制ではそういう思いを持つ人が育ちにくいというのはその通りだと思います。

 だからと言って立候補制だから上手くいくというものでもありません。
 自ら立とうという人は独自の価値観を基に改革しようと考える人が少なくなく、みんなの利益とか損得勘定なしという考えを持たない人も多いのです。

 難しいですよね。
 これらの問題を解決するために推薦制を採用しているのがブログ記事にもあった西京極大門ハイツ管理組合です。
 ウェブサイトでこのマンションを検索してみると様々な取組を読むことができ、驚嘆と憧憬の意を強く感じますが、どのマンションでもできるかと言えばやはり難しいと感じてしまいます。

 だから現実的なのはしっかりした第三者(マンション管理士や管理会社)のサポートを得ることではないかというのが結論なのですが、こちらのマンション、決して遠い場所ではないため、一度勉強会等に参加させていただいて管理運営のヒントを得たいです。

(石井孝典)