現在、「窓ガラス等改良工事に関する細則」の準備をしています。
窓ガラス等の改良工事とは何か?
今回は、改めて意義と細則の必要性を確認しておきたいと思います。
各住戸の窓に設置されているアルミサッシは通常、共用部分となります。
そして、専用使用権が設定されており、通常の用法にて使用する上でのメンテナンス等の費用負担は付設住戸の区分所有者となります。
ですから、掃除やガラスの割れ替えなどは個人負担となります。
経年劣化による改修については共用部分ですから原則として管理組合で行います。
つまり、大規模修繕の工事範囲にアルミサッシ等の改修を含め、工事を実施するということです。
ところが、この原則では運用できないケースが出てきました。
コスト的に大規模修繕に含めることができない場合や近年の窓用部材の性能向上を受け、大規模修繕まで待てない場合などです。
そこで、このような場合にデザインや形状を変更しなければ個別に改修を認めるというルール作りの必要性が高まり、国交省の標準管理規約も2度の改正により、今では(平成28年3月改正版)他の専有部分の改修規定を準用するまで、個別改修のハードルが下がっています。
実は、この部分で少し疑問を感じています。アルミサッシの改修を普通のリフォームと同等に扱ってもいいのでしょうか?
専有部分は個人の所有権の範囲ですから管理組合では(基本的には)口出しできないです。
例えば水回りの位置を変更したり、寝室部分をリビングに変更したりは、下階への迷惑につながる可能性があるため本当は止めてほしいですが、それを言うことはできません。(騒音防止等の基準を別途設けることは可能です。)
しかし、アルミサッシはそもそも共用部分ですし、中途半端な工事をされては他の共用部分にも影響が大きいです。
管理組合で改修を実施する場合は完全にオーダーメイドですが、リフォーム業者が工事する場合は戸建て用の改修用サッシを加工して設置することも多いと聞いています。
低層階なら戸建て用サッシでも構わないでしょうが、10階以上などの場合、耐風圧などビル用サッシでなくても大丈夫なのでしょうか。
施工後すぐに不具合が出れば責任は明確ですが、10年後の不具合は誰が面倒を見るのでしょう。
専有部リフォームをしやすくするような標準管理規約の改正は時代の流れとして肯定できますが、アルミサッシの改修を専有部リフォーム並みに扱うのは少々無理があるのではないかという気がします。
せめて、ある程度敷居を高くしておき、慎重に進めてもらわなければ後々トラブルにつながる可能性が否定できないのではないかと思います。
そんなわけで、やはり「窓ガラス等改良工事に関する細則」は必要だと思うのですがいかがでしょうか。
(石井孝典)