今回は、国土交通省から5月15日に「マンションの管理適正化に関する調査検討業務」という資料が公表されましたのでご紹介します。
この調査が実施された背景は長いので省略しますが、つまりはマンション管理の適正化に向けて、昨今のテーマとなっている項目に絞ってアンケートやヒアリング調査を行った報告書という位置づけです。
調査項目の主なものは、外部専門家の役員としての活用(第三者管理)、大規模修繕の発注ルール等、民泊、防災対策、コミュニティ活動の管理費からの支出などです。
まず、外部専門家の役員としての活用については、まだ大変少ない状況で、アンケートベースでは実施している割合が1%でした。将来的には検討したい割合を合わせても30%程度となっており、あまり現実的な課題ではないのかも、という印象を持ちました。
実際に外部専門家を活用している事例としては、高経年で賃貸化が進む小規模マンションや投資型マンションなど限られた需要に偏っている実態が見受けられました。
大規模修繕については概ね良好に運営、実施されているような印象を受けましたが、一部では修繕コンサルタントの不正やバックマージン等が報告されるなど、管理組合がしっかりしなければならないという当然の結論が導き出されていました。
民泊については実施されている割合も民泊を容認する考え方も1~2%と少なく、約9割がマンションでの民泊については否定的という結果となっています。
防災対策については避難訓練や避難場所等の周知、非常用物資の備蓄が3割を超えて実施されているものの、マンションにおける防災対策の浸透は今一歩という印象です。
また、最新の標準管理規約改正で話題となったコミュニティ活動の管理費からの支出については防犯・防災訓練を8割超が容認したほか、自治会費を管理費から強制徴収すること(違法という判例があり、本来は不適切ですが)も52%が容認するという結果となりました。
国や有識者が言うほど世間は問題と捉えていないことが分かり、少し安心することができました。
報告書は国土交通省のホームページから見ることができます。
もう少し具体的に突っ込んで調べてほしかった感もありますが、最新のテーマに関する調査という点で参考に見させてもらいました。
皆さんもよろしければ一度ご覧ください。
(石井孝典)