今年6月からスタートする民泊に備え、京都市では法律を超えた独自のルール設定が進んでいます。
2月6日にアップされた京都市ホームページによれば、現在、条例案の提示からパブリックコメントを終了し、修正案が公表された状況です。
修正案を見ますと民泊事業検討者にとってかなり厳しい内容となっています。
以下、主な規制を記載します。
1.住居専用地域での営業は1月15日~3月15日の60日間(民泊法では180日以内)に限定する。
2.営業時間中は事業者等が概ね10分以内に駆けつけることができる範囲に駐在する。
3.共同住宅等において事業を実施する場合はゲストパスの交付を義務づける。
4.共同住宅の入口等に営業を識別するための部屋番号の掲示と当日の宿泊者の有無の周知を義務づける。
仮に民泊事業を検討していたとして、このようなルールを守るとなると私などはっきり言って腰が引けてしまいますね。
京都の1月から3月はとても寒く、いわゆる閑散期ですからとても民泊事業に進出しようなどとは思えないです。
逆に言えば京都の苦悩が表れているというか、ご存知の通り全国有数の観光地ですから、観光客に関するトラブルに以前から頭を抱える状況にあるのでしょう。
そういう意味では過剰とも思える反応にも納得できます。
今後は民泊に対する住民の目もより一層厳しくなることが予想され、京都市ではおそらく合法的な民泊は普及しないでしょう。
さて、ではその次を考えてみます。
京都でホテル難民となり、宿泊先を確保したい観光客は奈良に来るのではないでしょうか。
奈良でもホテルは少ないですから民泊が現実的な選択肢の1つになります。
そこで、奈良県の民泊に関する条例骨子案を見てみますと、民泊実施制限として、
1.学校や保育園等の周囲概ね100m以内の区域では月曜日の正午から金曜日の正午までは禁止。
2.歴史的保存地区等では観光客の需要が増大すると認められる期間は禁止。(具体的な日数は未定。)
3.事業管理者の事務所から届け出住宅までの距離が2Km以内とする。
程度です。
(議会承認前であり、かつ、条例案としても変更の可能性があるとの注釈付で公開されています。)
私は奈良県民でして、関西の中では少しのんびりとして控え目なその県民性が気に入っているのですが、この問題についてはちょっと怖いです。
平和ボケと言いますか、そののんびりとした対応が仇になるのではないかという気がします。
民泊事業者は奈良県民とは限らないわけですから。
問題が大きくなってからでは遅いわけで、行政には民泊問題に対する素早い行動を望みます。
共同住宅の場合、現実的な対応としてはやはり住民自治に頼るしかないわけで、今後、京都から民泊利用者が流れてくるかも、という意識のもと動向を見極める必要があると思います。
(石井孝典)