マンション委託契約は、準委任契約と請負契約の混合契約といわれています。準委任契約とは、依頼者から受託者に対して一定の業務を行うことを委託する契約であり、請負契約とは、依頼者から受託者に対して一定の成果物を引き渡すことを委託する契約です。誰かに何かを依頼したときに、そこで発生する費用について明確にしないままで事が進んでいることをよく見かけます。このような場合、依頼者と受託者の間でトラブルが発生する可能性が高くなります。それを防ぐために契約書を交わします。

マンション委託契約について定めている法律がマンションの管理の適正化に関する法律(以下「適正化法」という)です。特にこの法律ではマンション委託契約の準委任契約の部分を重要視しています。この準委任契約部分が、基幹業務となっています。基幹業務とは、管理組合の運営や財産の管理を行う業務です。請負契約部分は、清掃や管理人業務などの具体的な作業を行う業務です。

最終的に、最低限度必要な費用(これはコストに相当するものです)が依頼を受けた管理会社側で持ち出しとなっているような場合もあります。これは、管理会社が適正な価格設定をしていないことを意味します。逆に、管理組合に管理会社から過重なコストやフィーが請求されているかも知れません。これは、管理会社が不当に利益を得ようとしていることを意味します。

この依頼を「準委任契約部分」として考えてみると、これについてもコストとフィーに分けて決まらなければなりません。「必要経費」がコストに相当するもので、「報酬」がフィーです。マンション管理業務の基幹業務のほとんどは、管理会社内で完結する業務ですから、各社各様のコストとフィーの算出方法になります。したがって、管理組合は、管理会社がどのようにコストとフィーを計算しているかを確認する必要があります。

請負契約部分は、管理会社の外注費や人件費がコストとそれに利益の料率をかけたものがフィーとなり、各社同じような考え方のコストとフィーの考え方になります。したがって、管理組合は、管理会社が市場相場に沿った価格設定をしているかを比較検討する必要があります。

(岡廣樹)