公益財団法人マンション管理センターが平成30年9月より、マンションの長期ビジョン策定のための調査・検討を始めました。

 マンションの長期ビジョンとは、通常30年程度先までを見越した長期修繕計画といったハード面に特化したビジョンだけでなく、さらに長期の方向性や管理方法、利用形態等のソフト面を含めたマネジメント計画ということのようです。

 このニュースを聞いて、初めて≪いいね!マンション管理センター≫と思いました。
 こんな言い方をすると批判の嵐(今風に言えば炎上?)かもしれませんが、マンション管理センターはもう15年以上も法に定めた唯一のマンション管理の適正化を推進する機関として指定されている存在なのに大して役立ってないな、という印象があるからです。

 まあマンション管理士としての立場からは(親方のような存在とでも言いましょうか)試験でお世話になり、法定講習でも頼らざるを得ないため、表立って批判はし辛いわけですが、まったく知名度が上がらないマンションみらいネットや基礎セミナーばかりの講師体制はマンション管理士を活用するどころかその逆ですし、一般論ばかりの相談に対する回答や独自性のない出版など私にとっては、あまり積極的にお付き合いしたいとは思えない存在でしかないのです。

 ところが今回の調査は素直に期待しています。やっと管理適正化推進センターとしての活動をしてくれたと感謝したいです。

 調査ではすでに長期ビジョンを策定、運営している管理組合とこれから長期ビジョンを作ってみたい管理組合に対しアンケートやヒアリングを行うようです。
 そしてその報告をまとめ、2019年度中には手引きのようなものを公表する予定だそうです。

 長期ビジョンこそ現状の組合運営の仕組みでは作りにくい最たるものですし、ある程度体制が整った及第点マンションでは最も必要なものだと個人的には考えています。

 まだ調査する管理組合を募集したところで、どのような内容になるか、調査をどの程度掘り下げてくれるのか全く分からない状況ですが、既存の枠組みでまとめた抽象的な内容ではなく、管理適正化推進センターとしてふさわしい報告を期待します。
 そして、手引きはマンション管理士や管理会社が管理組合に参考として提示したり、国がこれを参考に法整備に動いたりといったレベルのものを期待しています。

 マンション管理センターとしてはどのようなイメージを持っているのか、現在出ている広報では全く読めませんが、大いに期待しているマンション管理士もいるということがセンターに届けばいいなと思って今回はこのテーマを取り上げました。

 また進捗状況などが広報されると思いますので、注目したいと思います。

(石井孝典)